建築について議論を交わし、建築的思考を深める
6/17に、今年度最初の例会を開催しました。
テーマは「建築について議論を交わし、建築的思考を深める」
第一回目は、BCS賞やJIA建築大賞を受賞した小堀哲夫氏設計による「NIKKAイノベーションセンター」について、みなさんで議論を交わしました。様々な意見・価値観に触れることで、本当に良い建築とは何かを考えようという試みです。
当日ファシリテーターをお願いした山田寛さんに寄稿いただきました。
今回の例会は、身近なところにある素晴らしいと言われている建築を題材に、さまざまな視点から議論を交わし、建築的思考を深めていくことを目的として、「NIKKAイノベーションセンター」を題材として、議論をすることとなった。
このような一風変わった例会の内容に至った経緯は、そもそも、福井という地域性なのか、福井には建築を批評する場がないということから始まっているように感じる。
それは、私が、4年前に名古屋から福井にUターンで戻ってきたときにまず感じたことだった。そして、その感情は、私が、福井大学在学中(12年前)に感じていたフラストレーションと一致していたことにとても驚かされた。
建築は、当然、社会的なものなので、むしろ「批評」にさらされるのが普通である。つまり、「批評」なくして建築は成り立たない。そんな「批評」や「議論」が、この福井において、普通の風景となるよう、まずは、実験的に今回の例会で試したという運びである。
私事で申し訳ないが、毎週金曜日の夜に「建築井戸端会議」という建築(アートやデザインも含む)を多角的に議論する場をオンライン形式で実施している(オンラインバーのような感じである)。メンバーは学生や社会人等が参加している。この場も開催するきっかけとなったのは、上記が主な理由である。
参加していただいた会員の方々は、最初は戸惑いつつも、私が口火を切って題材の建築を批評したことで、徐々に発言が増えはじめ、結果として、様々な視点から建築を深堀りできたように感じた。まだまだ実験的ではあるが、今後もこのような議論の場を定期的に設け、建築と地域性とを結びつけながら思考したり、はたまた建築という領域からはみ出すようにダイナミックに思考したりすることで、福井の建築のポテンシャルが再構築され、再定義されるような場となることに期待したい。
山田寛